Martin Gehrchen先生の手術見学について・・・独立行政法人 国立病院機構 相模原病院 熊野 洋
【 上の写真について 】
●向かって左の奥のDr.Pedro Berjanoは、ミラノにあるIRCCS Istituto Ortopedico Galeazzi,Milanのspine surgeonで成人脊柱変形や小児変形矯正を主にされています。European Spine JournalのDeputy Editorを務められております。
●右の手前のDr.Ibrahim Obeidは、ボルドーにあるUniversité BORDEAUXのspine surgeonで小児・成人の難治変形症例を多く執刀されています。Eurospineでは毎年パネリストとして講演されます。
●いずれの先生も、近年日本の脊椎関連学会で招待講演をされているのでご存じの方も多いかと思います。
当学会の欧州手術見学企画が始まる以前から手術見学をさせていただき、それ以来欧州手術見学期間中の夕食会にお誘いしております。
●術前カンファ
2019年10月14日はCopenhagen大学病院でMartin Gehrchen先生執刀の変形矯正手術を見学させていただきました。午前8時にRighospitaletというCopenhagen大学病院に集合しGehrchen先生により術前カンファがありました。
●症例
症例は71歳女性。腰痛のために過去に2回の除圧術の後、腰椎前弯消失のためL3のPSO、T9-iliumの固定術を以前に受けましたが、経過中にT8椎体骨折を生じました。
パラメータはPIが52度、LLが40度、PTが26度ではありましたが、固定隣接椎体であるT8が椎体骨折を生じたためSVAは+116mmと増加し症状が悪化したため手術に至りました。
●KEOPSを用いた3Dでの術前評価
今回、このバランス不良に対し下位腰椎でのLL獲得のためL4でのPSOとT3-iliumを予定しました。手順としては、全instrumentの抜釘、T3からS2AIまでスクリューを刺入、L4のPSO、PSO部でのdual rod化(dual headのついたスクリュー使用)という流れでした。手術時間は4時間52分、ピンホールの硬膜損傷あり、骨移植は大腿骨頭の同種骨とdemineralized bone matrixを使用し、術中モニターは異常なしで終了しました。
術後の写真ではsagittal alignmentは改善しています。
●Martin Gehrchen先生と参加メンバー
●手術室・術中の様子
手術室の様子。手洗いや術中撮影も許可していただきました。部屋の隅にはO-armがありました。明るい窓が印象的でした。
T3レベルまで展開。facetectomyは安全のためにノミではなく超音波メスを使用していましたが、スピードが速く出血は少ない印象でした。術中神経モニタリング装置は、Medtronic社製でした。
写真左は、L4のPSOを行っているところです。椎体はパンチで前縁の手前までで掘削を終了としていました。Surgifloを適宜椎体内の止血に使用していました。Dual headをもつpedicle screwも見えます。
写真左は、サバ折りできるベッドを用いてロッドを合わせてL4で前弯をつけたところです。
写真右は、rodを締結したところです。Dual headのところはdual rodに。
参加者がscrub inして
助手のRobert Svardal-Stelmer先生から
説明を受けているところです。
●手術見学終了
最後は玄関先まで見送っていただきました。
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