学会設立の趣旨と経緯

当学会は脊椎・脊髄神経手術手技研究会として1993年12月6日に発足した。設立メンバーは下記にあるごとく脊椎脊髄外科を専門とする整形外科医である。第1回の学術集会は1994年10月15日(平成6年10月15日)に東京新宿で開催された。最初の脳神経外科医の会長は1999年の第6回学術集会であり、名称を日本脊椎・脊髄手術手技学会(JPSSSTSS)と改称した。同時に学会誌脊椎・脊髄手術手技(J.JPSSSTSS)を年1回刊行することになった。

当学会の発足の趣旨は以下の通りである。脊椎は脊髄と解剖学的にも機能的にも密接な関係にあるがこれに関わる機能不全や疾患は整形外科学と脳神経外科学の独立した分野の医師によって対処されている。すべての医学の分野には重複する境界領域があるのは当然であるがその境界領域の広さから見ると脊椎脊髄領域はきわめて広く多彩な疾患を抱えた医学の分野である。この分野を専門として医療行為を行うには当然ながらこの二つの学問分野の密接なインターアクションは欠かせない。 しかしながら世界的に見てこの二つの学問に属する医師の組織だったインターアクションはない。当学会は整形外科医と脳神経外科医が共に自由に学際的な意見の交換と手術手技の交換を行うことが可能なインターアクションの場を提供したいと言う趣旨から発足した。そのためには学会のレベルは世界のこの分野のレベルと同等であるべきであり学問研究の成果の発表は参加する医師の個人の責任に拠ったものであり組織に縛られない自由なものでなければならない。この学会は近い将来この分野は一つの学問の分野として独立することの可能性を示唆している。

設立メンバー

熊野 潔 関東労災病院
町田 正文 日本大学医学部整形外
三上 凱久 虎の門病院整形外科
佐野 茂夫 三楽病院整形外科
渡邉 秀男 大阪赤十字病院整形外科
宮下 裕芳 湯河原厚生年金病院整形外科
平林 茂 関東労災病院整形外科
内海 栄治 内海整形外科


JPSTSS学会の生い立ちとその理念
-JSR脊椎脊髄外科統合誌の刊行に当たって-

2010年より整形外科分野にある八つの脊椎脊髄外科の学会が、平等な立場で参加して一つの統合雑誌を刊行することになりました。本特集号の読者は他の学会の会員を含めて急速に増えることになります。従ってJPSTSS学会の最初の特集号に当たって、学会の設立メンバーの一人として本学会の生い立ちと経緯を記しその理念を明確にしておきたいと思います。

1960年代後半に脊柱側弯症の手術療法であるHarrington rod instrumentationが我が国に導入され、新しい脊椎外科分野が広がっていきました。関節外科では人工関節が導入された時期と一致しています。更に1980年代には、pedicle screwing を中核としたspinal instrumentationの脊椎外科が先進諸国に広がり、世界的に脊椎外科分野が大きく変貌していきました。1980年代のフランスのCDI spinal instrumentationはこの分野で世界のリーダー的役割を果たしていたと思います。当学会の目玉的プログラムである手術手技のHand-on sessionの形態をとった研修会が、グローバルに開かれました。フランスの講師を中心に対象の受講者は整形外科・脳神経外科を問わないspinal surgeonでした。パリやフランス各地で、年1度開かれていたCDI国際学会と米国のScoliosis Research Societyへの参加の経験と、日本でspinal instrumentationのHand-on sessionの研修会を開催するようになった経験が本学会を結成する原動力になったように思います。この新しいトレンドの脊椎外科の発展は、人工関節の発展と相まって整形外科学に大きな変革をもたらし、今もそれは現在進行中であります。

当学会は脊椎・脊髄神経手術手技研究会として1993年12月6日に発足し、第1回の学会は1994年10月15日に東京で開催されました。当然ながらこの学会の発足に当たっての理念はこのグローバルな流れとフランスと米国の二つの研究会のあり方に深く影響を受けたことは否めません。今もフランスの学会の一つと互恵的協力関係が継続しています。

三つの理念を掲げています。それは1.個人主体の参加、2.整形外科と脳神経外科の集学、3.世界と同時進行です。理念の一つに掲げた個人として当学会へ参加する意思を持つこととは、まさに欧米の個人主義を導入したいという本学会の意思表示であります。日本では歴史的に、学会は組織を単位として公として形成されてきたという学問的風土がありますが、個人主体の参加を理念として掲げる意義の重要性は今後益々問われていくと考えています。
もう一つの理念は、整形外科と脳神経外科との垣根を払った学際的な知識の交換と協力を行うことであります。この整形外科と脳神経外科の集学の理念こそ将に本学会の真髄となるものであります。すべての医学の分野には重複する境界領域があるのは当然でありますが、その境界領域の広さから見ると脊椎脊髄領域はきわめて広く多彩な疾患を抱えた医学の分野であります。この分野を専門として医療行為を行うには、当然ながらこの二つの学問分野の密接なインターアクションは欠かせません。本学会はこのインターアクションを積極的に行うことを理念に掲げています。設立メンバーは脊椎脊髄外科を専門とする整形外科医でしたが、1999年の第6回学術集会の会長は最初の脳神経外科医が会長となりました。これまで17回の学会のうち4回の会長は脳神経外科医であります。
三つの理念の最後の一つは世界と同時進行することでありますが、これは説明を待たないと思います。特に本学会の話題は常に手術手技に特化してきました。実際これまで内外から多くの講師を招待して新しい手術手技のHand-on sessionを行ってきました。これからもこれは継続されていくでしょう。

なお当学会の英語名は略称JPSSSTSS(Japan Society for the Study of Surgical Technique for Spine and Spinal Nerves)を使用してきましたが、文字がおおすぎるのでJPSTSSと2009年より改めました。

今後も脊椎脊髄外科はたゆまぬイノベーションの力によって益々発展していくものと考えられ当学会の未来も明るいと信じています。

2010年4月18日
JPSTSS学会理事 熊野 潔

今後10年のJPSTSS学会の世代交代と
新しい学会の組織形態づくりのための学会会則の改定

創立以来二十数年になり会員数も当時の十倍となり組織の世代交代をかねて昨今の学会事情に適合すべく組織形態を整える学会会則の改定が提案され第33回JPSTSS学会理事会と第23回学術集会総会で承認された。
学会三原則に基づいて理事の世代交代を行い学会経営の効率強化をはかる目的で組織形態の改定を行った。
学会会則改定による新組織形態と今後4年間の会長/副会長を指名し新理事リストと名誉理事リストを以下に提示する。

2016年9月 JPSTSS学会統合本部 熊野 潔/佐野 茂夫

学会の新組織形態

理事長-統合本部 -理事会の組織形態とする。理事数は約30名とする

  1. 理事長は学会の代表権を有する。
  2. 財務理事は副理事長を兼務し統合本部の中心的存在であり事務局を監督運営する。次期理事長の候補である。
  3. 統合本部補佐は統合本部において補佐的役割を行う。将来の理事長及び財務理事の候補となる。
  4. 学術集会会長は学術集会を主催する。任期は1年とする。会長は統合本部の一員として協力しながら学術集会学会開催を実行する
  5. 常務理事は理事会を主宰し統合本部の一員となる。
  6. プログラム委員長は学術集会プログラムを統括する。
  7. 学会誌編集委員長は学会誌編集委員会を主催して機関誌の編集に当たる。
  8. 国際広報顧問とは 理事又は名誉理事が理事会で選ばれ、学会の海外招待講演者の招致及び学会の海外での活動を補佐する。
  9. 監事の任務期間は5年とする。監事職は複数人を認める。
  10. 固定事務局秘書は会計業務を行い契約会計事務所がこれを支援する。
  11. 統合本部は理事長、財務理事、学術集会会長、常務理事、プログラム委員長、統合本部補佐、によって構成される。学術集会の資金は一元的に統合本部で管理され統合本部を通して支出される。
  12. 理事会は理事長、財務理事、常務理事、統合本部補佐、理事、JSR編集員長からなる
  13. 学術集会運営委員会は学術集会会長、統合本部、プログラム委員長からなる。
  14. 以上の改定は平成29年 (2017年) 1月より有効となる。
  • 補足追加項目
  • 学術集会会長の選出の実際
    • 新学術集会会長は統合本部で理事の中から推薦し、理事会と総会で承認されて選出する。
    • 理事は必ずしも会長に選ばれなくても良い。理事の任務期間は任意である。理事会を3回連続で欠席の時は理事の権利を失う。会長職なく理事職で退任した時も名誉理事の権利が得られる。
  • 名誉理事
    • 理事を退任した時名誉理事となる。
    • 年会費及び学術集会参加費は全額納める。
    • 学会会場では識別されるようにする。
    • 学会会長招宴に招待される。
    • 学会参加、座長就任に関して制限はない。

第28回までの学術集会会長及び副会長の指名

第24回2017年 山崎 昭義 先生 / 本田 英一郎 先生
第25回2018年 谷口 真 先生 / 鷲見 正敏 先生 / 根尾 昌志 先生
第26回2019年 根尾 昌志 先生 / 下川 宣幸 先生   
第27回2020年 久保田 基夫 先生 / 細江 英夫 先生
第28回以後については残留旧理事と新理事から会長を選出する。

2017年1月吉日よりJPSTSS学会の役員 (敬称略)

理事長 熊野 潔
副理事長兼財務理事 佐野 茂夫
学術集会会長 山崎義昭
常務理事 町田 正文
プログラム委員長 平林 茂
統合本部補佐 山崎 隆志
監 事 西島 雄一郎
事務局秘書 瓦間 千子
理 事
(14名)
長谷 斉、寶子 丸稔、小柳 泉、末綱 太、浅見 尚規、佐藤 公治、
谷口 真、細江 英夫、本田 英一郎、根尾 昌志、鷲見 正敏、久保田 基夫、
川原 範夫、下川 宜幸

新理事
(2018年より17名)
太田 秀樹、斉藤 貴徳、時岡 孝光、豊根 知明、青田 洋一、竹下 克志、
原 政人、渡辺 健一、宮本 敬、河野 仁、宮本 裕史、高見 俊宏、
清水 暁、尾原 裕康、今釜 史郎、中尾 祐介、西良 浩一
名誉理事
(7名)
三井 公彦、内田 毅、伊藤 昌徳、平泉 裕、高安 正和、斉藤 正史、
白石 建