第22回日本脊椎脊髄神経手術手技学会(JPSTSS学会)を2015年9月18日(金)、19日(土)に東京、新宿の京王プラザホテルで開催させていただきます。本学会は同窓の先輩の熊野潔先生、佐野茂夫先生らが中心となり創立された、手術に焦点をあて実際的問題を研究する独創的な会であります。このたび、会長を拝命し誠に光栄に存じております。
今回の学会のコンセプトを、“脊椎・脊髄外科医の想い、知恵、技術を科学する”といたしました。学会ですべきことを言葉に、と考えた結果であります。患者の幸せを想い、知恵と手術という技術で想いを達成して行くことが外科医の使命です。この日々の努力と成果、苦労と反省を共有し進歩してゆく場が学会と考えました。
手術には医学と言う科学的要素と芸術的要素があります。神の手や名人にしかできない手術は芸術です。しかし、それでは救える患者数が限られます。それを皆ができるようになって医学になります。科学とは普遍性がその本質で、原理的には誰でもわかり、反証可能性の担保が必須とされています。本学会がビデオセッションやハンズオンセッションが充実しているのは科学に重点を置いているからです。
主題は1骨粗鬆症脊椎への対策、2成人脊柱変形の治療戦略、3:脊椎・脊髄におけるMISの進歩、4:脊椎・脊髄腫瘍 日常的切除術から難問まで、5:脊椎外傷、6:手術・周術期の工夫、7:合併症対策(麻痺、SSI、血腫、髄液漏、インプラント位置異常、など)8:皆で共有したい私のインシデントといたしました。骨粗鬆症脊椎は高齢化社会での最大の難問です。脊椎は硬い骨という前提の崩壊が外科医を苦しめており、さまざまな技術、器械、薬が進歩しつつあります。成人脊柱変形は高侵襲手術で、MISは反対に低侵襲を目指しています。この融合が期待されます。脊椎・脊髄腫瘍は簡単と思えるものにもpitfallがあり、難しいものは誰にとっても大変です。外傷は手術時期、方法、椎骨動脈閉塞などの問題が残っています。手術・周術期の工夫は外科医の知恵であります。成績不良の原因は合併症で、これさえなければ最低限の合格点を確保できます。患者さんには申し訳ないのですが、外科医は神ではありませんので、human errorも起こりえます。これを真摯に議論することが外科医の誠実さであると考え、皆で共有したい私のインシデントを主題に含めさせていただきました。
セミナーやspine leader’s lectureでは、“脊椎・脊髄外科は外部からはどうみえているか”、“脳外科医と整形外科医がお互いに得意なことを共有”、“日本発の脊椎・脊髄の技術”などの話題を検討しております。
東京は交通の便が最高です。日本のすべてが東京に集まってきます。新宿は都庁がありその東京の中心であります。9月半ばはまだ残暑の厳しいころですが、多くの皆様にご参加していただけますようお願い申し上げます。
2014年10月
第22回日本脊椎・脊髄神経手術手技学会 (JPSTSS学会)
会長 山崎 隆志 (武蔵野赤十字病院副院長・整形外科部長) |