第17回日本脊椎・脊髄神経手術手技学会(JPSTSS学会)

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第17回JPSTSS学会・学術集会の開催にあたって
 

平成22年度、第17回日本脊椎・脊髄神経手術手技学会(JPSTSS 学会)を横浜で開催いたします。
JPSTSS 学会は、私が関東労災病院に勤務し始めた年に第1回学術集会が東京で開かれました。
その頃の腰椎固定術と云えば、PS+PLF が主流でしたが、我々は切除した椎弓と人工骨を用いたPLIF を行っていました。当時のPLIF 手技はまだまだマイナーな手術でした。その後、脊椎implant の発展、技術の向上、脊椎矯正という観点から、今やPLIF は、腰椎固定術の主流になっています。
 一方、1990年代後半からは、脊椎手術にもより低侵襲な手術の概念が導入され、さまざまな手技の工夫が現在でも行われています。こうしたMIS(Minimally Invasive Surgery)は、周辺機器(内視鏡、顕微鏡、Navigation 装置、手術機器など)の進歩とともに、頚椎・胸椎・腰椎を含めたすべての脊椎領域に応用され始めています。
 JPSTSS 学会もこうした脊椎外科の大きな流れとともにさまざまな手技を発信してきました。私と同年代の先生方は、大きな脊椎手術の変遷の中で成長し、現在の脊椎外科医の中心的な役割を担っていると思います。
 さて、JPSTSS 学会は設立当初からの目的である、(1)世界同時進行の技術の習得、(2)整形外科医、脳外科医との知識・技術の交流、(3)個人による自由参加が特徴であります。この自由な参加による意見交換、技術交流は、脊椎外科指導医はもとより、これから脊椎外科医を目指す若い医師にとっても、非常に有意義な学会と思います。整形外科医、脳外科医による多くの口演から、多くのメッセージを受け取ってもらえれば幸いです。
 今回の学会の主題として、I. 脊柱変形の手術治療の効果、II. 腰痛に対する手術治療の効果、III. MIS の問題点とピットホール、IV. 圧迫性脊髄障害の手術治療、V. ビデオ演題を取り上げました。特に主題 I、II は、脊椎外科医としては避けて通れない分野だと思います。どのように疾患・病態を捉え、どう治療していくことがよいのか、議論の尽きない分野だと思います。
 招待講演は、頚椎・腰椎のMIS としてDr. J. Wang に、脊柱変形としての側弯症の講演をDr. Neustadt に、脊椎圧迫骨折のバルーンKyphoplasty の講演をDr. Shen にお願いしています。また、Spine Leader’s Lectureやハンズオンセッションからも多くの最新の情報が得られることを願っております。
 みなとみらい周辺には、さまざまな施設が多く、中華街・レンガ倉庫街もすぐ近くにあります。学会終了後の楽しいひと時を過ごしていただければと思います。

 


2010年9月
第17回日本脊椎・脊髄神経手術手技学会 (JPSTSS学会)
会長 内田 毅 (内田毅クリニック院長)