この度、第12回日本脊椎・脊髄神経手術手技学会会長を拝命いたしました.第11回までの本学会会長はいずれも日本を代表する脊椎・脊髄外科領域での権威の先生方で占めらてまいりました.
私自身、この伝統に恥じぬよう誠心誠意をもって大任に当たる所存ですので、関係緒先輩方の忌憚のないご指導ご鞭撻をお願い申し上げます.
さて、本学会は脊椎・脊髄外科領域を専門とする整形外科医・脳神経外科医を中心メンバーとし、手術手技に関する主題を設けて情報交換を行う学会であります.会員数は毎年増加傾向にあり、平成15年度の会員数が560名に達していることからも、本学会の社会的・学術的意義の大きさが伺われるところでございます.
第12回学術集会の開催日程は2005年9月16日・17日の2日間で、飯田橋に完成したばかりの東京コンファレンスセンターを会場としました.本会場は東京ドームに近接し、東京駅、羽田空港からのアクセスの良さと最先端のオーデイオビジュアル設備がセールスポイントといえます.御講演される先生方の晴れ姿を会場スクリーンにクローズアップして映写する予定ですので、たくさんの演題ご応募をお待ちしております.
主題は3題を選択させていただきました.主題1は“困難な状況からのリカバリーショット”と題して、直面したどんな小さな困難な局面でも結構ですから(例えば制御困難な出血、髄液漏出、等)、どのようなリカバリーショットを打ったかのコツを教えてください.1例報告でも大歓迎です.私を含めて旧世代の脊椎外科医が徒弟制度と称して見て習い、体験して覚えた古き慣習を脱して、本学会会員が皆で情報を共有すれば必ずや未経験・未知による手術合併症を減らすことができると確信しております.主題2は“脊髄病変に対する安全な手術手技”です.本題も脊椎・脊髄外科では最も高度な技術を要する領域ですので、教科書では習えないピンポイントのテクニックをご教示ください.主題3はここ数年の趨勢となっている低侵襲手術手技です.これは内視鏡下、顕微鏡下または開創術式におけるどのようなワンポイントでも、術者が患者に対して低侵襲であると考える手技を御発表いただきたいと思います.以上の主題1~3はいずれも私達医師の使命である患者に最善を尽くすという意味で重要なテーマであると考えます.
次に、前学術集会まで実施されてきたプレコングレスセミナーを、学会期間中の早朝に実施するアーリーバードセミナーに発展させたいと思います.学会前日はご勤務の都合上遅い時間に東京に到着になられるでしょうし、学会中の夜は自由な東京の夜を満喫したいとのご希望もあるかとお察しいたします.そのような面で、欧米の学会で実施されている早朝セミナー形式であれば効率よく勉強する時間を見付けられるのではと考えます.ぜひ、高い交通費と宿泊費を払って会議に参加される先生方には充実した時間をお過ごしいただきたいと存じます.
本学会でもう一つ大切にしたい点があります.医師だけの力で良い医療を提供することは到底不可能であり、私達が七つ道具として頼りにする医療器械、薬品等の知識をアップデートするために講演会場のすぐ隣に同サイズの展示会場を用意しました.コーヒーブレイクの時間を増やし、かつ、講演会場風景を同時中継しますので、会員同士との親睦や展示ブースの散策に有効利用していただきたいと存じます.
最後に、脊椎・脊髄外科を専攻する整形外科、脳神経外科医が一同に会して親睦と情報交換を行うという本学会の主旨に則りながら、忙しい時間を割いて参加していただく先生方に有意義だったと感じていただける会議となるよう努力しますので、たくさんの諸先生方のご参加をお待ちしております.
第12回日本脊椎・脊髄神経手術手技学会
会長 平泉 裕
(昭和大学医学部整形外科学教室 助教授) |