脊椎外科における最近の進歩は、種々の instrument が開発され、これまで困難であった症例についても脊柱機構の再建が固定術という形で可能になったことであろう。現在これらの instrument が、操作性や安全性のより高いものへの改良が、また、より侵襲の少ない器具や方法への開発がなされて来ている。その中で、内視鏡を用いた、特に腰椎への手技は日進月歩の状態にある。そこで、本年の主題(I)として「脊椎の内視鏡手術」を採りあげた。また新しい手術法の開発に伴ってのもののみならず、いかに安全に手術を行って目的を達するかは、患者・医師の双方にとって非常に重要な点であることから、主題(II)に「合併症とその対策」も採りあげた。応募演題、招待講演と会員からのアンケートをもとに活発な討論が行われ、多くのことを学びたい。
本年も主題に関するもの、工夫された instrument 等について、外国から11名の発表がある。さらに、可動性を失わずに安定した状態で脊柱を再建する為の「人工椎間板の開発」について、整形外科医である京大再生医科学研究所の岡教授にご講演いただけることになった。脊椎外科の夢が近い将来に現実のものへとなりつつあり、期待して拝聴していただきたい。
44の演題、5題の特別講演、両日に分けての11題のサテライトでの講演、両日に分けたハンズオンセッションと、盛沢山の内容になった為、両日とも早朝から夕方7:00までのスケジュールとなったが、活発な討論と実りある研究会となり、本研究会の設立理念である「個人主体の参加」、「世界と同時進行」、「整形外科と脳神経外科の集学」の3本の柱が、さらに太く発展することを願っている。
最後に、本研究会の開催にあたり多大なご支援、ご協賛を賜った各企業の方々に 厚く御礼を申し上げます。
平成10年8月
第5回 脊椎・脊髄神経手術手技研究会
会長 渡邊 秀男 |